水曜日

昨年の5月3日、GW模型と呼んだ模型を隅田川の上で考えたのだった。(ゼロ磁場スピン系ではニューマンとムーアが先に出していたことを後で知ったが。)格子模型(スピンだと有限磁場系)では、少し奇妙な1次転移を示し、ガラスとの関係もあるかもしれない〜ということで論文にして、僕にとっての「統計力学第一号」になった。IOP SELECT に選ばれたり、(たったの一回しか口頭発表していない)ソールでの講演が非常に好評だったり、中々、記念すべきものになった。現在、準備中の「ガラスという言葉が題名にはじめて入る」論文は、GW模型のタイル版の3次元版である。だから、これも1年前が起点になったものである。

今日は、朝、次女との約束で恒例の映画にいく以外は、全ての時間をこの問題に使うことにしていた。どうしても、ガラスオーダーパラメータの性質がはっきりしない。2次といえば2次だが、どうも変で、不連続だと考えると色々と辻褄はあうけれど、どうも証拠がない、というもやもやした状態だった。(厄介なのは、disorder側からは臨界発散しているのは確実だということ。それでいて、order側からは臨界発散せずにサイズとともに削れていく感じ。disorder 側からの臨界発散と不連続転移の共存は、GW模型がその例になっているし、おかしなことではない。)数値実験のサイズが小さいせいだが、それは仕方ない。理論的にはここをすぐに突破できるようなものではない。徳島にいる間も、ときどき、試行錯誤はしていたのだが、どうもはっきりしない。ここがすっきりしないと、論文を完成させていくモードにならない。

初心に帰って、もう一度、ありとあらゆるデータを整理する。夕方頃に、やっとでてきたもしれない。小さい有限サイズ系で1次転移の兆候をどうやって捕まえるのか、ということに尽きるのだが、結局、オーダーパラメータの分布をパラメータ毎にみていくとき、臨界発散とともに分布がひろがっていき、秩序相に突入したその瞬間に、分布にダブルピークを見ることに焦点をあてた。それが見えた。。分布のピークだけをおっかけていくと、典型的な不連続転移(1次転移)になっており、disorder 側のピークとは別のところからorder 側のピークが立ち上がっているのが見える。微小なパラメータ変化でさっと変わってしまうので、もうちょっと細かくとって綺麗なダブルピークまで追い込む必要はあるが、これは説得力が高い。(数値バグでない限り)、気分的には確信したし、これで、全てのデータの辻褄は合う。

熱力学的に2次転移、ガラスオーダーパラメータで1次転移というのは、RFOT とも整合している。ただ、これを理論的にこれを突き詰めるのは大変である。深夜バスの中で攻略方針を整理していて、6月以降には少し変わったところから攻めようと思っている。また、それとは別件で、きちんと解ける模型も作っておきたい。(できる気がするんだけどなぁ。こういうところで、気がするだけで終わるのと、本当にできるのとでは天地の差。)