土曜日

最近、土曜日は疲れている。仕事もたまっているが、全部明日にまわして、基本的には論文を読んでいた。

ガラス関係は、1) shear に対する異常応答に関する理論の第一歩 (Otsuki-Sasa), 2) 時間相関の異常性に関する理論の第一歩 (Iwata-Sasa), 3) 時間相関の揺らぎ - χ_4 -の発散に関する理論の第一歩 (Iwata-Sasa II) まできた。これらは全て「近似を明示的にしたミクロからの計算にもとづき、マクロに普遍化できる結果をだす」ことで一貫している。しかしながら、ガラス全体からみると指先をさわっているようなもので、とても「ガラスの理論」ではない。とくに、いくつかの特徴については、まったく説明できていない。個別の現象に焦点をあてて、上記精神を徹底したのであるが、そのためそれから少しでもはずれると極端に説明能力がおちる。これは、1), 2), 3) 全てに共通している。

1) に関しては、大槻君のノート待ちの状態だが、健全かつ有意義に拡張していく方針はもっている。それに対し、2), 3) の次の方向性がまだみえない。とくに、"plateau の中立性" *1については、僕たちのアプローチでは説明できない。MCTだけに付随する論理なら、偶発的なものとして切捨て、すべきことはMCTの欠陥をみぬくことである。しかし、数値実験の結果を色々眺めていると、"plateau の中立性" もある気がする。MCTではχ_4 の発散をplateau の中立性にもとづいて議論しているようにみえるが、僕たちは両者は独立であると主張する。(つまり、χ_4の発散の起源は、plateasu の中立性にない。別の「隠れた中立性」が効くのである。) しかしながら、"plateasu"の中立が事実なら、それを説明する論旨をもちたい。 

そのためには、Otsuki-Sasa とIwata-Sasa を結びつけることが大事な気がしてきた。前々から質問を受けていることではあるが、真剣に検討する時期かもしれない。

*1:中立性とは、massless とかgaplessとも呼ばれる。物理にとって、massless, gapless, neutral mode を同定するのは極めて重要である。