土曜日

「しなければいけない仕事」は全部明日にまわし、Harada-Sasa DLG version の証明を考える。途中、少し外出したり、うたたねしたり、、ではあるが、ゆったりした時間がとれてよかった。証明の方針は、集中講義中に考えたとうり、(Hayashi-Sasa 由来の)直交条件を導く路線にする。ようするに、Harada-Sasa のようにモデルの詳細に依存しない関係式がでてきた背景は、いまのところ、直交条件しかない。その物理的意味はいまいちわからないが、算数としてはそうだ。DLG で直交条件に相当する(と予想する)式を書き下していたので、それを丁寧に確認したあとで、証明にはいる。

きちんとしたことはまだわからないが、数値実験で使っているような時間発展則だと直交条件、そしてそれからくるHarada-Sasa がそのまんま成り立つことはたぶんない。しかし、これは、モデルの超短時間部分をおおらかにしているからであろう。たとえば、数値実験をすれば、その超短時間部分を捨てたところで周波数積分をとるべきであり、そういう操作をすれば、きっと成り立つだろう、、とは予想している。しかし、そうなると、理論的に何かを示すのは極端に難しくなる。(先に数値実験で確認すべきかもしれないなぁ。応答関数も相関関数もすでにデータは持っているはずで、データ処理さえすれば、すぐにでも使えるかもしれない。)

そこで、短時間部分も物理として合理的になるようなモデルにして、直交条件に相当することを示そうとする。が、それでも算数的には大変難しいようにみえる。格子系になれてきたとはいえ、やはり、算数の扱いは面倒で手がすらすらうごかない。そもそも、記号が煩雑すぎる。。ここはひとつ格子系のプロの田崎さんの知恵を借りようか。

物理として大事なのは、直交条件の意味をもっと明白にすることだろう。集中講義のときにも、「その直交条件をやさしい言葉でいったらどうなりますか?」という質問が修士の学生からでたが、まさしく、そこができていなくて、算数に頼らざるを得ないままではだめだな。

しかし、こういう作業をしていると、あらためて、Hayashi-Sasa, Harada-Sasa が「跳んでいる」のは認識した。(日記で書いてきたとうり、名大の談話会でも喋ったとうり、跳んだ発想をもったのは若い二人である。質的に新しい何かをつかもうと懸命に作業する中から、跳んだアイデアがでる状況がどんどん続くともっともっと楽しくなるだろうな。)

補足:上の段落は誤解を招くかもしれない。跳ぶアイデアが最初からおりるはずがないことは意識したい。一般的、抽象的なレベルで、跳んだアイデアだと自分が思うようなことがあるなら、そのほとんどは、すでに誰かが考えている陳腐なものか、意味がないものかのどちらかだと思ってよい。具体的な問題に格闘して、途方もない地道な作業を繰り返すなかでしか、他人が思いもつかなくて、(そして、最終的には、正しく、有意義な何かにつながる)アイデアなんてでない。 たとえば、林さんの直交条件に至る前の2ヶ月は、ひたすらふたつのスケールをつなぐ何かをしりたくて、地道なデータを取り続けていた。この期間に他人からみると、なんと面白くもない地道なことをやっているのだろう、と感じたかもしれない。