日曜日

今日は、(平均場)巨視変数ダイナミクスについて一般的考察をできるだけする、と決めていた。秩序変数の自己無矛盾解の安定性は計算せずとも理解できるはずで、その起源をはっきりさせよう。。と。第2法則っぽい話と関係するのは明らかだが、それを具体的に書く。エントロピー生成の正値性というのだとちょいと弱い、というか、文字どうりだとそれとは対応しない。結局、マクロ変数が運動したとき、それがミクロ自由度に操作として関わるとき、相対エントロピーの単調性から決まる不等式が、ちょうどマクロ変数の定常解の安定性を与えるようだ。(ただし、やや一般性を欠いていて、マクロ変数の運動が遅い極限に限定している。)もっと一般な場合、マクロ変数の値がミクロ自由度からきまるので、フィードバックがあるときの熱力学っぽい感じになるかと思ったが、そっちはまだ素人か手がすらすら動かないというか、出来なかった。さらにこういうことをもっと一般的に考えていたら、先月のくりすちゃんの話が参照系になる気がするのだけど、そっち方向に一般化するのもできなかった。結局、いちばんしょぼい形での「定式化」になったが、頭の中で分かっていたと思っていたことはこのレベルだったから、それでいいか。

ちなみに、平均場XYでもノイズ蔵本でも全く同じ構造になっている。そうすると決定論的な純粋蔵本がなぜうまくいかないかというと、相対エントロピーの単調性がないからか....。(ノイズいれてそれをつかってノイズゼロ極限がOKかどうかは、その極限で相対エントロピーの変化率が有限にとどまるかどうかという問題。)

これで、NJP特集号への投稿論文の筋は固定されたか。イントロ、模型のあと、今日の話をして、例題1、例題2、まとめ というのが標準的な構成に見える。メッセージは、(転移点近くの)巨視変数のおそいダイナミクスの安定性が拡張された第2法則から保障されており、かつ、そのダイナミクスの具体的な形は、そのエントロピー生成の変化率から具体的に計算される、ということかな。(先行研究で、分布の時間発展方程式に対する算数としての解析は形式的には求まっているが、明示的に全て計算するということ、非平衡統計のセンスを踏まえた別導出ということと、マクロダイナミクスを出していく一つの雛形の位置づけにはなっていること、というのが意義かな。

相対エントロピーの単調性が使えなくなって主張が乏しくなるのは、ハミルトン系の緩和の議論で遭遇していたことでもある。弱ノイズいれて最後にノイズゼロ極限をとる話をハミルトン系でもやるべきなのかな。(うーむ、Yauさんたちのオイラー方程式導出と同じか。。)解析はできるが...何か違う気もするんだが...。その一方、そっちが現実な気もするし。。よくわからんな。でも、少なくとも、この2週間でノイズゼロ極限の話に一気に親近感を覚えた。[そういえば、2005年にはじめてホルヘとパリであったとき、すぐに「Hatano-Sasa は決定論的系で使えないから、どうする?」と言われたな。2007年には、「その問題、ノイズいれてゼロ極限とって...」とも。じつは、蔵本に対する解析はまさしくそれをやっていることと等価なんだよなぁ。