木曜日

今年度はずっと第一週木曜日は、研究科会議と専攻長会議、金曜日は第一専攻会議と第一運営会議があって、それらの準備やそれにまつわる諸々とかで時間がそれなりにとられる。終日ばたばたして、夕食後は、しばらく横になっていた。

深夜は、昨日の続きを紙に書いた。なるほど、蔵本模型は素直にいかないわ。昨夜の素朴な方針でいける限界は、ノイズをいれてからスケール分離で秩序変数のダイナミクスだしたあとで、ノイズをゼロにする極限をとる、というあたりらしい。これは蔵本模型の研究史で十分に理解されていることで、すとらがっつの2000年の論文(レビュー)に読みやすい物語風解説がある。くろーふぉーどがその順序での解析を膨大な計算を経てやったらしい。ただその方法だとノイズゼロは無理になる。そこで問題とされていることは理解はできるが、それが核心とは思っていなくて、僕の方法だとそれがなしでいけるかもと思っていたけれど、ひっかかる場所は全く違うもののノイズがないと解析が動けなくなる。目を閉じるとそこで動けなくなるのは、単にテクのせいだと思えるので、回避方法はあるに違いないと思うけれど、今日は無理っぽい。(僕のやりかたでは、巨視変数のダイナミクスを出すために初期分布に工夫を凝らして時間変化をできるだけ綺麗に書くことになるので、初期分布についての考察が犠牲になっている。だから、「その初期分布の選択」がずるいといわれればずるい。でもそれは近似でも作業仮説でもなくて、前提条件。特定の初期分布だけれどその使用を許してくれ。。。他の分布でもいいけれど、任意の分布で...とやると矛盾はでるのだから何かの条件は必要。さもなくば、別の仮設が必要。)

蔵本模型でノイズいれてダイナミクスだしてノイズゼロの極限をとる例題として追加しておくか。。(108)式でダイナミクスが導出されるクローフォードの論文とかほとんど誰も読む気がしないだろうし。MF-XY模型の解析 とノイズ蔵本模型の関係は、ちょうど、Jarzynski とHatano-Sasa の関係になっている。いつものサインポテンシャルに外力かかったときにパラメータを変えたときの不可逆仕事を計算する問題に帰着される。だからあれだI_+ とかがでてくるやつ。それでノイズゼロ極限をとばして係数を評価するんだな。ま、面白そうだし、NJP の特集号の趣旨にはマッチしているし、とりあえず、ノイズゼロは先送りして、こっちでやろうか。

あ、今週になって突然これを取り上げたのは、NJP で「Stochastic thermodynamics」の特集号を組んで、それに投稿しないといけないから。日本からも何人かの方にお願いしている。(当初の企画では、うど、くりす(=じゃるちんすき)、ぼくが編集者の計画だったけど、くりすが(とある事情で)多忙すぎて、くりす(ふぁんでんぶるっく)になった。)未公表のノートはたくさんあるので、そこから何か書けばいいのだろうけど、未公表になっているのは、結果が十分でないと思っているからで、そのあたりの折り合いが難しい。で、7月に夏の学校の準備をするときに、MF-XYの計算方法が面白かったので、そのときのノートに、「数値実験で結果を確かめてから、NJP に投稿」と書いてあった。で、今週再起動で、プログラムを書いたのが月曜で、そのノートを探していたのが火曜で、文献整理したのが水曜で、蔵本模型を見たのが今日。基本的に「夜の仕事」だけど。