木曜日

夕方、日高さんの集中講義にでる。ちょうど射影演算子を使った相対論的線形流体方程式の導出の話をされると聞いていたからである。論文は見ていたのだが、前提とか論旨とかがつかめてなかったのでちょうど良かった。

1年前なら、何一つ理解できないまま終わったかもしれない。射影演算子は勿論知っているが、それ自体は恒等式なので、流体方程式とか遅い変数の運動とかに直結するわけではない。意味不明な近似がはいって気が付いたら欲しかった式になっている、というのもよくある。流体方程式に関しては、色々な論文を精度をあげて読めるようになったし、どうだろう。

さて、結果。。うん、(計算間違いをしているかどうかのチェックはしていないが)、論旨は完全に正しいと思う。というか、僕の話を線形化した版との対応をみながら追っていくと、相対論の部分を除いて、意味が完全にとれる。このあたりの計算は、恒等式1を使っているなぁ。ここは恒等式3で、あぁ、それは一般的な熱力学関係式で...という感じで。。そして、核心部は、射影演算子にあるのでなく、初期の密度演算子の設定にある。局所ギブスを大域的平衡から線形化したものだと考えればよい。そこを線形化してしまうと、ゆらぎの定理タイプの恒等式3は使いにくいのだが、その代わりに射影演算子恒等式を使っている。変な近似はなく、恒等式以外は微分展開だけで、その展開の打ち切り方は正しかったように思う。その話を非線形化するのは、Kawasaki-Gunton 型になるのでなくて、僕の話を相対論化するのと同じだと思う。誰かやらないかな。日高さんの話の非線形化と僕の話の相対論化をやることになるので、練習問題としてとくだぜ...と原子核理論のM1の人にいっていたのだが...。(僕がやればいいのだけど。。長い論文にいれるか??)

何かこう、はじめて、射影演算子のツボが分かりそうな気がする。ゆらぎ定理の対称性との関係で捉えるのが正しい気がする。そして、何かすっきりしていなかった僕の論文の(20)式は射影演算子の立場からは極めて自然に理解できることも学んだ。もう少し一般的に考えれそう。でも、そうするとKawasaki-Gunton とはいったい何になるのだ?(まだ唯一難攻不落なのだが。)

質疑応答で可逆ダイナミクスと不可逆ダイナミクスの関係がでていた。これはFAQだし、長い論文ではしっかりと説明する予定。伊丹君に昨日ちらっと説明したら関心してくれたし。。