金曜日

木曜日の深夜23:30に流体導出論文の査読コメントが届いた。全てプレゼンに関することだが、国語の入試問題のようである。「....」という文は暗号的だからもっと具体的にかけ。とか、「...」という文の主張は理由が分からないので、説明を追加せよ。全ての問いは明晰であり、答えないといけないものばかりであった。論文査読過程の終盤で、このような建設的なコメントをいただくのは大変ありがたい。

ただ、日程がきつく、金曜日は案件ラッシュだったので、時間をとれない。お風呂に入って、木曜日中に原案を作成する方針にした。26時までかけて原案を作った。金曜日は大学にいるときは、基本的にずっと仕事(会議とその関連業務)だったので、朝早くと夜に原案をチェックし、最終案を作った。もう一日おくと休日が挟むので、やや不安が残るが、そのまま再投稿した。

土曜日の朝、無事にPRL掲載決定が来ていた。よかった。後日、投稿後の成り行きと、現時点での位置づけの解説を書く予定だが、今、ひとことだけ。この論文は全く時代遅れのテーマを扱っている。どれくらい時代遅れかというと、ざっとみて50年くらいかな。例えば、今が、1964年なら、すぐに注目する人がたくさんいただろうし、「これはタイムリーですね」と評価された可能性もあると思う。しかし、50年後の今、そもそも問題の位置づけを理解している人自体それほどいないし、短い論文として公開する意義の評価は難しいと思う。ただ、レターの内容として、一般的な興味を惹くタイムリーな話題、という他に、該当分野における顕著な研究結果という項目もあり、複数の査読者の「特に長時間の尺度でみたときに意義がある」という速報性をはずした評価のおかげで掲載決定となった。当然、成り行きによっては、「重要な結果だがレターとしてはふさわしくない」という判断になる可能性も高かっただろう。後者になったと仮定して、ちゃんと読める長い論文を書くのが正しいのだろう。3月原稿と思ったけど無理だな。1年がかりかな。(「読めない」「読むのが難しい」...と連発されつづけているので、長い論文で読めるのが書けるかどうかは自明ではないが。)

ちょうど1週間前にPRL掲載決定通知がきた Nemoto-Sasaは、全く逆で、これは先端中の先端の話題だと思っている。実際、時代の少し先を歩いている感覚はある。ただ、その分ふわふわしており、道がはっきりと見えていない。非常に狭い専門家以外の人たちに論文の主張を理解してもらうのには、それなりの時間と準備が必要な気がする。large deviation を物理として制御する - という目標ですすんでいるのだが、まだよく理解していない部分が多いしなぁ。(いずれ、この解説も書きたいが、ちょっとその余裕はないか。)