日曜日

ストックホルム会議録:非平衡環境問題。断熱ピストン問題を、途中から無限遠方までを環境だとして、有限に閉じた形で記述しようとするとおかしなことになることを明示的に意識したのが1−2月で、それをそのままストックホルムでしゃべって、河合さんとずっと議論していた。とくに、関本さんと河合さんが提案する、MDD という機構は、局所的なプロセスに関する現象論的提案なので、系の遠方を環境だとして記述を変えることで、結果が変わってはまずいわけだけど、実際は変わる。MDD でなくても、僕たちの言葉では、仕切り壁近くの運動論の適用がはるか遠方の詳細によって破綻する、ということなのでにわかには信じがたいことだった。河合さんと話をしていて、何かイメージが分かった気がして、4月くらいにスケッチを書いてみた。しかし、それは伊丹君にあっさりつぶされた。この歴史を踏まえて、今日ゼロから全て考え直した。いい加減、会議録を書かないといけないし。
 結果、「何一つ分かっていないことが分かった」ということだった。問題を明示的にしても答えがない。そもそも問題が悪いのかもしれない。例えば、断熱ピストン問題に限定しても、希薄極限以外でまともに議論する方法は今のところない。数値実験もない。(強引な環境まで含めた全系の数値実験はデータ処理が大変で、意識をちゃんともっていないと整理できない。某グループのように破綻する。)まともな環境の模型はひとつも作れていない。少なくともひとつ作ったと3月頃にここに書いたかもしれないが、それは間違いだった。
 一日つぶしてこれだけのことを理解した。。生産的かどうか、というと全然生産的でないが、それに関わる数多くのことを具体的に式を書いて、絵を描いて、確かめた、という意味では意義深い。ふわふわしていたことがなくなったから。
 非平衡環境問題は色々な論点でこれから大事になるだろう。形式的には射影すればいいだけなんだがなぁ。そんな形式的なこといっても仕方ない。あ、会議録、どうしよう。