木曜日

1月4日の講義準備。ふー。24時までかかった。かなりのピンチだった。

大学院講義は、位相記述:リミットサイクルを示す同じ系がふたつある。それぞれにゴミが少し入って、少し相互作用する場合を記述せよ、という問題。これも典型的な特異摂動問題で、例えば、ファンデルポールと似ているが、詳細では少し違うし、系が一般的になっているので抽象度が高い。蔵本スクールなら第0歩なんだが、色々ととまどった。単に忘れていたのを0から全部やって時間がかかった以上に、本質的に?が入ってしまった。"near identity transformation" という、微分方程式のアドバンスな本にはあるテクで、僕も本で見ただけでなく、色々な問題で計算したこともあるし、ここで使うのはもっとも初歩的なものなのでつまるとは想定していなかった。(「相互作用をNITによって位相差だけの関数でかけることを示せ」という問題。)どうやら、大学院生のときに、その部分は完全に理解してなかったようだ。ちょっとした技巧に気が付かないと計算できないはずで、ううんん、最近の本ではどうなっているのだろうか。(実は全然持っていない。)僕が大学院生のときに受けた蔵本さんの講義ノートは公開されていて、それを見ると...「○○と計算できる」と書いてあるだけだし、その講義の脳内ビデオを再生すると、以下同様的な言い回しになっている。(まぁ、そうだろうな、、とは思ったが、家でその部分は計算しなかったのか..)

学部講義は、番外編。前々回で流体方程式の完全な組がでてきたのを受けて、それをもっとも単純明快に理解する考え方について説明する。学部3年生なら(講義でやってきたように)ひとつづつ作っていくのを学ぶのが物理の神髄を感じる意味でもよいと思っているけれど、それだと、どうしてもごちゃごちゃ感が残る。そこで、それを払しょくするのが目的のひとつ。実は、保存則+局所熱力学だけで、(3つの散逸パラメータを含む)完全な方程式がほぼ唯一に自然と導かれる。ここでの熱力学の使い方を僕は2年前まで理解しておらず、僕の知る限り、この論旨で説明している本や文献はない。)すっきりした教科書風なら、ここから始めるのもありかもしれない。将来のことも考えて、もう一度整理しとこう..という案だった。例によって、途中で計算があわずかなり焦った。(最終的には計算をもうちょっと単純化したいが、今日はここまでか。)[京都では、来年度(大学院)夏の講義は、ここから入る予定。そこからカークウッドに入って、非平衡統計の動機づけを与えて...という感じ。もちろん、学部生も参加してよいはず。]