月曜日

諸々の年内予定作業終了まであと少し。

仕事がひと段落ついた午後の途中からX-模型の統計。今までのプログラムを6を15にして、ちょこちょこと換えるだけなのでプログラムはほぼ一瞬でできる。昨日でもできたのだけれど、一呼吸をおきたかった。最密充填からの融解と交換MCの両方を計算させる。融ける直前の絵から、励起の様子も分かる。ふむふむ。統計結果がではじめた夕方にグラフを見る。ふむふむ。これは平衡化は速そうだ。明日にも32x32の統計が確定するかもしれない。綺麗な転移のグラフだなぁ。ただし、今までの模型でも数値的には転移していたので、これだけだと全く証拠にはならない。非常に大きい有限の化学ポテンシャルでは、基底状態を壊さないことを言わないといけない。そのための観察である。

模型についてもう少し説明する。4色使うので正方形の辺の塗り方は全部で4^4=256とおりである。256種類のタイルのうちp種類かのタイルを選んで固定し、それらをp-種類の分子だと思って、格子上排他的に吸着脱着する模型である。相互作用はハードで「辺の色が揃わないと並んでおけない」という至極単純なものである。問題は、p-種類のタイルをうまく選ぶことで、i) 最密充填は無限個ありgenericには不規則配置であり、ii) 化学ポテンシャルがある値より大きいとき、各々の(無限個の)最密充填からつながる(無限個の)秩序相があって、iii)乱れた相からその秩序相へと熱力学転移する - ということが生じるか? である。(勿論、4色でなくて、3色でも5色でもいい。)

無限個の秩序相はいくらなんでも強すぎるだろうとか、いや、もっと弱めて熱力学転移が起こることすら怪しいのではないか-- とは誰しも思う。でも、そういう模型がないという状況証拠があるわけではない。単に試行錯誤されていないだけでないのか? というのが素朴に思ったことである。

(i)は実は非常に簡単である。例えば、左辺と下辺の各々4色塗った16枚を用意して、それぞれ右辺と上辺を適当に決めると、これはセルオートマトンになる。実際、すぐに(genericに)不規則配置を生成するセルオートマトンを書くことができる。これだけなら2色あれば十分で、それはGW模型そのものでもある。

ところがこうやって作ると、熱力学転移が生じない。大雑把にいうと、充填パタンが連鎖的に作られているのに対応して、穴の影響による励起も連鎖的に生じて無限にひろがってしまうから ---。色々と微妙な論点があって、そうはいっても何とかなるかもしれないと2ヶ月以上ばたばたしたのだったが、結局、それが転移をなくしてしまう構造がはっきりわかったのが24日だった。

X-模型は、4色なのに16枚でなくて15枚使う。だから、(i)の段階から非自明なのである。どうやらこれを突破したらしいというのが現在の状況である。1枚欠損しているので、励起が連鎖的に生じることができず、途中でとまる。最密充填は「狙い打っているので」無限にひろがるが、そこからの励起は一般にはとまるだろう - というのが筋である。ただし、「狙い打てば」励起も無限にひろがる可能性もあるので、もし、その可能性があれば、きわどい議論をしないといけないかもしれない。いずれにせよ、励起パタンの規則化が必要である。