月曜日

宮崎さんの集中講義(2日目):4年生が"MCT eq" を理解できるためのminimum という構成で、これも宮崎さんならでは。ゆらぐ流体の適用限界やMCT の理論的妥当性について清水さんからばしばし質問がでる。[金子さんや僕も少し..] (完璧に時間配分を考えていた宮崎さんには申し訳ないけれど、こういうやりとりも学生には勉強になると思う。)で、講義後の議論(ミクロからのMCT の導出)であれこれ教わったことが僕にとっての今日のメインだった。なるほど...やっと問題を完全に把握した。今まで大まかには知っていたけれど、明示的な問いとしてはぼやけていたのが明晰になった。これはいつか真面目にやりたいなぁ。さらにその後で残った学生(2年生)が粘弾性方程式との関係を聞いていた。そのやりとりでも勉強になった。

帰りの電車は、Ohta-Sasa 論文final に向けてぼちぼちと。うん、いい論文だ。random-field Ising model のdynamics といういかにも非線形記憶が効いてMCT-like になるように思える話なのに、高々余次元2の分岐(=つまり記憶なんて関係なし!)がexactに言える*1、というのは、dynamics の分類をすすめる上で大事な結果だと思う。MCT がよい近似になっているクラスもあるだろうし、そうでないクラスもある。そういう分類が大事なんだと思う。今週中には投稿できる予定。

今日のarXiv を見ていると、有限次元ガラスへの攻撃がはじまりつつある気配になっている。まいった、やばい、やばい。。最悪的にワンテンポずれたのだろうか。。90年代終盤を思い出す。「よし、確率過程でゆらぎの定理を見よう。あ、簡単だ。」と認識したとき、Kurchan のがちょうど出てしまっていた。勿論、有限次元ガラスでは、まだ「すげぇ」というのが出たわけではない。しかし、ヨーロッパの眼がそっちに向いてしまったら、圧倒的な質と量の差で木端微塵にふっとぶ可能性が高い。どうしよう。どうしよう。

*1:太田君が、集中講義で"MCT がいい近似になっているための条件は何だ?"というようなことを宮崎さんにマイルドに聞いていたのは、この結果があるから。