木曜日

物理数学の課題として、「熱伝導定常状態から平衡状態に遷移したときに流れる過剰熱を熱伝導方程式にもとづいて計算する」という問題をとりあげる。問題設定がはっきりしていて、かつ、答えがきちんと計算できるからであって、2年生にさりげなく SST を刷り込ますという意図はない.....はず。今日は、その問題の物理数学としての設定を丁寧に説明して、PDEにおける境界条件の意味をおさえつつ、フーリエ展開を導入するまで。色々なレベルで学ぶことはあったはず。で、来週、その問題を最後まで解く。実際、フーリエの例題としては、色々と楽しめる題材なのだ。(僕がこの例題をはじめて解いたのは10年以上前...。)

講義後、休む間もなく、ささ研セミナー。清水さん/ゆげさんの夏の論文を背景から丁寧に教えてもらおうということで、清水さんの講義つき。(学外に案内を流して大きな部屋でやってもよかったけれど、通常の大きな部屋が埋まっていたのと、駒場local な会もいいだろうということで内輪だけでやった。)

清水さんのShot noise の明快な講義で「常識」を学んだ上で、ゆげさんから論文の結果を聞く。論文をざっと見ていて、あれこれ不満だったことをひとつづつじかに聞きながら、正しい理解を重ねて行く。で、質問をしていく中で自然と論文外の部分に突入していって、論文には書かれていない関係式に入っていった。まだ未公表なので詳しく書けないけれど、FDT violation についての綺麗で示唆的な結果に到達している。(そして、そこには明快な謎もある。)俄然面白くなったので、あれこれ喋る。2時間半のセミナー後、夕食のときも自然と考えていた。さて、どういうことだろうか。

NESS については、僕たちはほとんど何も理解していないのだから、こういう知見の蓄積が大事である、、などと評論家みたいなことをいっている場合ではない。考えよう。