火曜日

今、岩田さんがやっているのは、schematic MCT とよばれる「いわゆる玩具の方程式」である。生まれて25年くらいたつ。spherical p-spin glass で exact になっているので、玩具の価値がぐーんとあがったが、本当の問題からすれば玩具に違いない。しかし、簡単で非自明な様相を示す模型は徹底的に叩く価値がある。ガラス系MCT のブームをふたまわり過ぎたあたりで、この方程式の世界に入ったのだから、先を急がず、恐ろしく遠回りをしてきた。3年たって玩具を叩くツボが見えてきたので、やっと玩具を叩きはじめた。なるほど、奥の深い方程式だ。まだ完全に見えきっていないが、日に日に仲良くなっていくのが分かる。そのうちに完全にとりこんでやる。こういう「よく知られた方程式に対して、誰もが見えてない(だろう、そして数年後には多くの人が知る可能性がある)ツボを攻める」のはきわめて楽しい。

今、太田君がやっているのは、「とある模型」の振る舞いの観察である。非常に簡単だが、その模型は全くメジャーではない。ジャミング関係で大きく突破するための論点がいくつかあって、そのひとつを解決するためには、簡単で非自明な模型が必要だ、という話を先月にしていた。「模型を作るのは僕は得意ではない」と議論の最初から僕は逃げ腰だったが、そのときの話のなりゆきで「このあたりからやってみようか」という案はでていた。その振る舞いは、いい感じで非自明さが漂っているようだ。理想的にすすめば、これをたたき台としてまだイメージすらない方向の理論に向けて大きく前進するはず。とくに、はたのさんの数値実験は、ここを基点にして僕らが持っていく予定になっている。こういう「誰もが知らない(だろう、そして数年後には多くの人が知る可能性がある)模型の振る舞いををみる」のはきわめて楽しい。

という話など。他にライデン講演のスライドの絵をつくっていた。こういうのは苦手でトラブルだらけだったが、何とか今日の予定はできた..か?