金曜日

黄金週間のうちにできたらいいな、と思うことを結構自宅にもってきているが、そのほとんどは手付かずのままである。今日も終日仕事をしていたが、思うようにはすすまない。(ただし、予定どうり、Large deviation 論文ver.0 は来週頭にできそう。)

実際にすることは、結構、周りに影響される。田崎さんから「Aizenman - Lebowitz の論文、面白いし、ためになった」というメールをもらうと、「うむ、そうなのか。。しまった、まだ、読んでない。毎日、もって歩いている*1んだけどなぁ。。」と思って、ついつい横においてみたりする。で、ついつい、ぱらぱらみてみたりする。その論文の結果(の一部)だけは、論文に紹介されていたので知っているけれど、およそ直感的とはいいがたい命題だった。ある種の格子模型(FA)で、厳密にはjamming 転移がおこらないことに関係するのだけど、転移がある、、といわれても、そうなのか--- と思うし、転移がない、、といわれても、そうなのか--- と思う程度で、要するに、思考停止してしまう。(ちなみに、ベーテで転移することは学部生でもわかる。)で、何か感じでもわかるかな、、と Aizenman-Lebowitz をもって歩いていたのだった。もちろん、もって歩いていても理解がすすむわけがない。先週、田崎さんがこられたときに、正直に、↑のような感じで思考停止して困っているのですよ、、とぼやいていた。そのぼやきが肯定的な作用になって帰ってきた。これは、読まないとね。。

ちなみに格子系のjamming を少し勉強しはじめて、明確に「その非物理性」の感じはわかってきた。物理的でない点をあげよ、といわれると、それはもうたくさんある。ある程度予期していたことだし、そこに驚きはない。じゃ、何で、非物理的かにみえる格子系を考えているのかというと、「概念に対する訓練」と「何かの可能性の芽の探索」のためである。前者は、いうまでもないだろう。jamming の概念は未だに経験的なものだし、これがどれほどのものかはっきりしない。もし、ちゃんとした概念化ができるなら、それに応じた表現があるはずである。そういうのを見るためには、色々な前提知識を抑えないと話がはじまらない。

後者は、わかりにくいかもしれない。何というか、モデルは非物理的でも現象が残るようなこと。例えば、「Ising は磁性体のモデルとしては非物理的だけど、臨界現象のモデルとしてはよいでしょう」というような可能性である。もちろん、現在の段階で、格子模型のjamming でそれほどまでに強い模型が提案されているとは思っていないし、そういう模型がでてくるかどうかはわからない。(だから研究をすすめているし、TBF 模型はひとつの前進だと思う。)でも、現象としてあれこれありながら、かつ、大きな可能性をみながら、進むのが楽しく思える。「熟成した理論の中で考えるのでなく、いまだない(があるかもしれない)理論の可能性をみよう、、」というのが僕の駆動力のひとつだしな。。

*1:数えていないけれど、結構な数の論文を持って歩いている。読むのは僅かなのに。