水曜日

千葉学会の論文:今週中にver. -1 は無理っぽい。煮詰まっているのでなく、「いい感じ」で展開しているからである。人でも研究でも、最初「いい感じ」でも、付き合っているうちに、つまんなくなったりすることはよくある。この千葉学会の論文は、論文を書き始めて、どんどん個人的には面白くなってきている。(最初の思い入れが低すぎた、というのはあるが。)

この論文は、くしくも月曜日の大学院講義で説明した「揺らぎのlarge deviation function を他の巨視的物理法則であらわす」ことの非平衡拡張のひとつである。境界非平衡の場合で空間は何次元でもいい。密度場だけが変数の場合でも、large deviation function を求めるのは一般には不可能である。Derrida たちによって、特殊な1次元可解模型で最近計算されたのみである。だから、一般論は捨てて、非平衡度については最低次の摂動(=カレントの2次)で、そのかわり密度揺らぎは制限なく大きな揺らぎまで許して、large deviation function を fluctuating hydrodynamics の枠組みで計算した。非平衡度について最低次だし、それほど面白くはないと思っていたが、そうではなかった。その表現の物理的な意味をきちんと考えると、多くの人が言葉では予想していたことの具体化になっている(ことに今日気づいた。昨夜の電車から気になりはじめていた。)しかも、それは小さな揺らぎだけみていても何もわからないことである。

そうやって少しみえてくると、考えたいことが色々と沸いてくる。ま、少しづつ、少しづつ。