木曜日

朝9時から卒研発表会。17人聞いた。僕が担当していた学生は、よく準備していて、うまく喋っていた。(intro がもう一枚いったか、、と発表の途中で気がついた。。事前にざっとはみていたのだけど、チェックが甘かったか。)卒研論文として公開する予定なので、これからも少しやりとりが続くが、ひとくぎり。

太田君が、「ちょい考えて、ぱっとやってみたこと」を知らせてくれた。今やっていることから自然にのびる手であるけれど、へぇ、面白い。課題をこなす感じでなく、あれよ、これよ、、と自然に手がのびはじめたのはよいことであろう。軽い話ばっかりやっていては、あとで困るけれど、そうならないために指導教員がいるのだし、当面は、軽い話をためらいなくやっていくのでいいと思う。

これは、もちろん、軽い話からはいる道を太田君が意図して選んだからである。そういう道の選択は個人個人ちがう。重い話からはいれば、修士の1,2年くらいは顔面蒼白だけで過ぎていく。でも、それはそれで(正しくもだえれば)財産になる。ただし、軽いときと同じで、重い話にもだえているばかりでは困るけれど。

福井さんからメールをいただく。「時間がかかってしまいましたが、○○」...て、さすがにプロである。普段、院生と接する機会が多いので、たとえば、(最近の学会領域11の院生には比較的なじみが薄くなった)○○までもっていくには、集中しても3ヶ月くらいはかかる。(岩田さんは、そのうちに、○○まで達しないといけないが。)勿論、僕にとっては、教えながら学べる*1ことも多いので、時間はかかるが自分にとっても有意義ではある。しかし、プロからさくっと計算した話を高速で聞くのは、それはそれで気持ちがいい*2

ただ、○○では、2ループまでやっても、みたいものはみえない。。そこが、僕らがやっている問題の味噌のひとつであり、まさに6月上旬くらいに、臨界現象的なことなんてあるはずないやん! といったんさじをなげかけたのと(計算の仕方は違うけれど)本質は同じである。つまり、場の理論的な問題としても、”臨界”の性質が、標準的なcritical dynamics とは異なっている。このことを、手を動かしながら理解していただいたのは大変うれしい。この先に、分野や対象を超えて、計算技術としても役に立つ何かがあるかどうかはわからないけれど、気楽に叩いてみる価値はあると思う。[ちなみに、板倉さんとの話ででた「揺らぐフロントを経路積分上で処理しきってしまうこと」とこの問題は、何がしらの共通点があるように思う。]

*1:ここの「教える」という言葉はニュアンスが変。学び方を誘導する、というべきか。研究にもろ使う諸々は、本人が手と頭を動かす以外に習得の道はない。その意味で、他人の介入は抑えるべき。その一方、適切に手と頭を動かすために、課題を順次つくってこなしていくのが必要で、この点については、見えている人は介入した方がいい。いずれにせよ、既知の計算法を学ぶこと自体は研究の核心にない。個人の味をだすのはその外側。

*2:ふと思い返せば、田崎さんや原田さんと高速やりとりしていたのは、客観的にはこの前か、、。原田さんとの話はもう大昔のように思うし、田崎さんとの話は有史以前の感覚になりつつある。