木曜日

中原さんのセミナー:ちょっとゆすっったときと激しくゆすったときで1週間後にでできる乾燥破壊のパタンの形状が違う、というのは、やさしい言葉をかけたときと汚い言葉をかけたときにできる結晶が違う、、というのを思い出させる。もちろん、中原さんのは、かなり自在に1週間後のパタンを制御できるので、ニセ科学ではない。(螺旋状だのリング状だのまでつくれる。)また、派手な現象をみせるだけではなく、非自明な機構の理解にも迫りつつある。

記憶する泥(その1)は、降伏応力曲線と記憶する泥相の境界が完全に対応しているので、ずり応力の残留成分が記憶する亀裂パタンに効いているのはほぼ間違いない。これだけでも十分意味があるが、今回の記憶する泥(その2)は、記憶のさせ方に明らかに2種類あることを示唆している。現象論的に相の境界を説明しているが、そのからくりはまだ見えていない。その1とその2の物質の違いから推定されるいくつかの予想は伺ったが、まだ、ピンときていない。色々なことを自由に議論するのは楽しいが、フラストレーションもたまる。数値実験でじかにみてしまうと早いかもしれない。

この実験、最初は98年ごろに聞いた。関本さんは、既に、残留応力にピントがあっていたので、中原さんの話(泥・その1)を聞いた瞬間に、残留応力の機構が働いているのでは、とコメントしていた。僕は、面白いと思っていたけれど、ほとんど忘れていた。4年前の秋の学会で中原さんとあったとき、バスに乗り込む途中で、「例の実験、再開してくださいよ」と煽動したのが、中原さんたちが実験再開するきっかけになった。それ以来、中原さんと松尾さんが毎週水曜日に徹夜実験をすることでリズムをつくり、4年前には想像つかないところまできた。結果だけでなく、色々な実験を繰り返していることがよくわかる蓄積もある。素晴らしいなぁ。