水曜日

今日、Otsuki-Sasa 論文の徹底的な手入れをすることは約1ヶ月前からきまっていた。もう一度かきなおしてもらっているintroduction をのぞいて、第一草稿レベルではあるが全部に手をいれた。この論文は、「降伏応力の起源をミクロから説明する」という大槻君が掲げた課題に対する解決の第一歩である。21世紀にはいって、Fuchs-Cates や 宮崎さんらの研究結果があるので、強い独創性がないと先行研究にうもれてしまうが、内容的に後発でも十分に渡りあえると思う。

基本的な考え方は、Iwata-Sasa と同様に、2体物理量の不安定性をみつけ、そこを基点にして、観測されている現象(今の場合は、降伏応力の発生)につなげることにある。先行研究とは異なり、MCTは全くでてこない。 (平均場的な)近似がまじりこんでいるが、理論の流れはスムーズだし、単に説明するだけでなく示唆に富む結果を得ている。実際、論文の手入れをしながら、ひとつの楽しそうな実験を思いついた。ちなみに、この路線の可能性を見出したのは大槻君自身である。降伏応力発生を研究する様々な方向を整理するなかで、この道があった。

これはこれでいいのだが、ガラス系の全体像となると全くみえない。あまり遠くをみると呆然とするばかりなので、当面は、自分たちの理論をひろげていくことを意識すべきであろう。色々な理論がつながってくれば、そのうち、みえるものならみえてくるだろう。非平衡統計も似たようなもんだが。