金曜日

7月21日から8月31日までの研究の総括。

7月中、hyperbolic chaos のtopological entropy のパラメータ変化に対する不変性と統計力学表現との関係が気になったので、考えていた。BRST 対称性の結果として理解できる、というのは少し面白かったが、あたりまえのことを難しく理解しているだけで、飽きてきた。ただ、この手の問題でBRST を扱う「小技」はすこしだけ開発したので、何かのときにつかえるかもしれない。

あまりにも小さい問題に時間をくっている感じがあったので、7月28日に方向性の整理をした。7月31日の日記に書いているように、 Langevin でみつかってきた直交条件やHarada-Sasa をミクロから理解することを掲げた。

最初は、Martin-Siggia-Rose (MSR)形式との関係からはいっていった。これは、カオスの積分表現から自然に流れてきたもので、最初の知見は、直交条件/Harada-Sasaが MSR 形式では、BRST対称性になっている、という事実だった。これも見かけは面白いが、どうにも形式的で、しかもその証明の論旨に重複がある気がした。8月6日に"quick derivation" に到達する。

むちゃくちゃ簡単な話になったので、逆にナンセンスな代物の可能性がでてきて、非常にびくびくした。ただ、ここのquick derivation のエッセンスは、作業仮説(弱オンサーガ)としてまとめれるので、これの意味をつきとめればいいかな、という方向にはいっていた。作業仮説の妥当性の検証というのは、簡単ではなく、結局、よりミクロからの研究方針のたてかたに四苦八苦していた。

8月12日に寺本君の話を聞いたのがひとつの転機になった。そこのメインの話自体も面白いし、展望があったけれど、参考としてできてた「ハミルトン系でのFDT の証明」のやり方が新鮮だった。僕風にアレンジしたのが8月13日。あくる日からこれを NESS に拡張していった。Nose-Hoover が15日、大自由度系が16日、式の整理が17日、その路線のまとめが20日。

ただ、これだと FDR violation は計算できるが、Langevin limiti でのHarada-Sasa への移行が明示的でない。なんのこっちゃと悩みまくる(実は15日から悩んでいた)。みえたのが22日。見通しがたったのが24日。とどめが29日。

Langevin limit でのHarada-Sasa のミクロからの再導出自体に大きな意義があるわけではない。(もちろん、大きな転向点に位置するが。)問題は、それによって何を新たに得ることができるかである。その議論を25日にし、26日に研究の方向性がみえた。実際、いまでも有意義で楽しい課題だと思っている。林さんはもうスタートしているが、僕は10月中旬からはじめる。その課題の詳細は、10月中旬に具体的な試行がはじまってから、少しづつ書いていくけれど、非平衡系をミクロからみたときにぜひともやりたかった(が手がでなかった)課題でありながら、今までの僕たちの研究を大きく膨らませて着地できるかもしれない。

流れにまかせてバタバタ展開したけれど、今年度後半に時間をとって考えぬきたい課題に到達したのだから、よい夏休みであった、、と総括していいだろうな。