金曜日

太田さんの最終講義:司会の立場なので、経歴紹介をする。研究業績の紹介では迷ったあげく、「フォーカス+大きな流れ」という紹介をした。(色々やった、というのは何もやっていないのと大差ない気がして。)フォーカスは、OJK にした。被引用回数は、高分子のミクロ相分離の方が多いのだけど、研究のレベルとして一段突き抜けているのは、やはり、OJK だと思ったから。(OJK の被引用回数が見かけ上少ないのは、Bray のレビュー論文がでて、phase-ordering は Bray をひけばいいみたいになってしまったから。Bray のレビューは基本的にはOJK の発展であり、phase ordering の研究でBray がやったことは、まぁ普通の優れた話にすぎない。このOJK は、例えば、1980年代前半に僕が明確な問題設定を知ったとしても、手も足も出ない問題に(大きな一歩となる)解決を与えたものである。今日の最終講義で紹介されていたとおり、川崎先生の界面ダイナミクスへの着眼へのアイデアやジャスノーさんのレベルセットの考えなど、色々な要因が重なった故の解決だが、そういう混合は後から見れば分かるが、当事者としての研究者では全く見えないものである。僕は時代背景込みで勉強したつもりなのでその感じはよくわかる。(ちなみに、この本は4回生のときに出版されてすぐに買って熟読したのだった。)さらにいえば、僕は人生で2,3度保存場の場合に挑戦している。基本的なアイデアは、レベルセットの変数uと保存量ゆらぎの変数\xi をもってきて、u と\xiで秩序化ダイナミクスを単純化する、という方針にあった。今でも方針は正しいような気がするが、どうもテクニカルに下手くそで最後までいっていない。(今日の講演ではopen problem の真っ先にあがっていたし、質疑応答でも8年くらい問題を追っかけた、、と仰っていた。)

講演のintermission で紹介された写真は83年秋の温泉での集合写真だった。前列真ん中が川崎先生、となりに阿部龍三先生(僕が駒場で使っていた机の先代)、ふたつとなりに鈴木ますお先生、前列端に蔵本先生、2段目端に三村先生、最後尾端に太田さん、最後尾真ん中あたりに宮下さんと田崎さん。30年前...。