金曜日

駒場での最後の試験終了。いよいよ駒場と別れる日が近づいてきている。試験問題は、 ここ にある。

静止流体に密度のゆらぎを与えると波が伝搬しその伝搬速度は圧縮率で決まる。機械的に「等温圧縮」で計算すると値が全く違う。何でや?と疑問に思って調べると、どうも断熱圧縮らしいことが本には書いてある。理由は、音が早く伝わるから... みたいな感じで。知識として「音は断熱圧縮」というのは得たとしても、何を言っているのか理解できなかった。残念ながら、僕の学生時代はこの程度だった。同じように知識としてもっている人はそれなりにいるし、あるいは、等温圧縮と断熱圧縮の違いを気にしなかった人もいるかもしれない。後者の人は、具体的に値を入れて確認することから、前者の人は理由を考えることを目指す、というのが講義でやったことだった。実際、流体の基礎方程式にもどつくと、音が伝搬するときは断熱圧縮が自然であることはわかる。[密度が波打つと、それにともなって温度も波打つ。](ただし、講義の説明は完全ではなく、断熱圧縮の条件をきちんと抑え込むまではやっていない。他の例題では、これまでかというくらい丁寧に2重不等号の条件を書いていたのだけど。)その講義で中山さんから「ちょっとした実験があって..」ということを教えてもらって、時々考えていたのだった。それが2)番の問題につながっている。形式的に等温圧縮で音が伝わる条件を書くことはできる。ここまでは、1) をきちんと考えれるとその裏側みたいな話。で、その条件が本当にありえるかどうか、実験でどうやってみるのか..というところでまだ腑に落ちていないのだった。(歩きながら頭で考えただけで、鉛筆もって真面目に検討していないけど。)だから試験問題にしてみた。完全な解答を求めているのでなく、流体の基礎方程式にみとづいて議論できるかどうかを問うている。流体の基礎方程式の位置づけを理解し、考えたい現象に対して数式で状況設定を書いていくこと、というのが一貫して講義でやったことなので、講義の試験問題としてもぴったりだと思っている。