火曜日

朝、たった10分で「増殖しない確率セルオートマトン(PCA)」は特異性がないことが確実になった。あかんのか...。増殖させていないけれど、サンプル毎の増殖率のデータはとっていたので、ぼーと、増殖率と密度のプロットを眺めていると、突然、1RSB が見えた。

PCA が増殖するとき、あるパラメータ値までは、様々な個体が分布して増殖する。ところが、ある転移点をまたぐと、ほぼ独占種に支配される。増殖率 vs 密度はその様子をあらわしているではないか。この「ほぼ独占種に支配される」というのは、いくつかの例で、condensation transition として、1RSBに伴って見えることを想起させるではないか。今まで、ランダムネスのないBM 模型で、RSB に相当するイメージが何だかわからなかったのけど、増殖するPCA の世界だと、転移が起こってもおかしくない雰囲気がわかってきた。ある密度を超えたところで、急激に独占状態に近づくことは確実なのだけれど、それが熱力学極限でシャープになるかどうかが問題のポイントになる。

一気に頭が活性化した。講義、書類、会議、会議の合間に増殖(クローニング)のプログラムを書き始める。実は、5年前に一度書いていたので、そのプログラムを発掘して、昼ごはんを食べながら解読し、講義後に集中して超高速で書く。帰宅してからバグ取りをして、何とか動くようになった。たった1分のデータでも、既にいい感じになっている。あとはどれくらいの精度が出るかだな。。遅い緩和などは全くなく、ひたすら2次元配置を「増殖するPCA」で作っていくだけである。だから、サイズ変更に伴う計算ロスの影響は少ない、、はず。GW 中には何かしらの結果がでるだろう。これで転移がなかったら、しばらくは研究を休んでリフレッシュしよう。

ちなみに、増殖する確率的力学系において、多種共存状態から独占状態への転移とは、いわゆる「癌化」に相当するのだろう。(誰も見たことがない)真の理想的ガラス転移が「癌」として特徴づけられたら、それ自体が楽しいねぇ。

現在、26時。50分の計算の結果は明確に転移に向かっているように見える。気分的には「勝利宣言」したいが、浮かれてもろくなことはないので、明日から慎重にいこう。