火曜日

太田君と作戦会議。ヨーロッパ勢の強力な結果を真のあたりにして、今の研究をどのレベルにして公表するか頭をひねる。苦しいがこのあたりかなぁ。。という整理ができたあたりで、「ところで、あのモデルやっぱりおかしいよね。」と説明をはじめる。「あぁ、なるほど。」と太田君も一旦納得したけれど、「あれ、でも、それでいいのでは?」と違った角度から太田君が説明する。おぉ?そうか..。白板に絵を描く。「あれって、こういうモデルだったのか....。」

その瞬間に色々なことが瓦解した。

時を遡ること7年くらい前かな。あわずさんが「少数自由度でのジャミング・ガラス系」の玩具を研究していた。「大自由度系と無関係で意味のない玩具ではないか?」との批判もあるなか、僕自身は大変好意的で、「2つのスピンがそろう様相をみせているようなもので、実際の大自由度系もこれをbuilding block にして考えれるはず」といっていた。実際に、あわずさんのモデルを並べて考えたことは幾度となくあった。でも何か複雑になって、「平均場」に相当するうまい模型を考えることができなかった。

今、白板に書かれているのは、そのときに探していたものだ。血の気が引いた。今は岩田さんや太田君とジャミングの平均場的様相を切り出そうとあれこれやっているからピントがあっているけれど、当時に思いつくのは無理だったか。。。いや、思い込みが足らなかったか。

これは間違いなく「真実への正しい一歩」だ。どうりで、Parisi, Mezard, Kurchan, Zamponi, Krzakala....が束になってやるはずだ。Parisi-Zamponi が分配関数を計算してしまったのもこれじゃないか...。

かなりうちのめされた後で、対応を考える。そうなら、僕たちにとっても極めて重要ではないか。SNを基本にするのがいいのかどうかの雌雄が決するときだな。僕は「ひとりよがり屋さん」なので、通常、ごく最近の他人の研究にのっかって、研究をすすめることはしないのだけど、これは例外だ。この模型の範囲でSN の妥当性れを抑えようと決めた。太田君が超特急でやってくれるので、年内には位置づけがはっきりするだろう。(アウトならかなり苦しくなる。)

そのついでに、次の展開を考える。モデルの提案は完敗でいい。そこはもらって、物理で勝とう。(いいモデルなので当然のことだが)、多くの可能性がある。あれも、これも...。さて、どうしよう。