月曜日

地震が起こって僕は瓦礫の下敷きになった。そんな夢をみた。うーむ。

ところで、学生さんと話をしていてふと思った。既に書く約束をしている本を除いて、あと書けるものなら書いてみたい本が5冊ある。ただし、そのうちどれも書けない可能性がもっとも高い。(既に約束している本も1文字もすすんでいない。イメージは膨らんでいるけれど。)約束でも何でもないから、ここに妄想を列挙しておこう。

統計力学新入門:

Einstein の「ブラウン運動の論文」を題材にして、等重率の原理だけを認めて、統計力学の諸々への導入を行う。とくに、その論文でふんだんに使われている「階層移行」についての議論を丁寧に扱う。推定150ページくらいか。(統計力学の標準的教科書が日本に誕生したので、この機会に、様々な視点のアプローチを紹介すべきだ。)

流体力学の基礎:

流体現象をつかさどる完全な方程式系の完全な説明。推定200ページ。「完全な説明」なので、例えば、液固転移点に近づくときの流れの方程式のstatus なんかもちゃんと議論する。(こんな本は世界的にもないと思う。僕は知らない。)流体現象の専門家はその基礎はとりあえずおいておくし、非平衡の専門家にとっては「古典的に過ぎる話題」だから、そんな本を書く余裕はない。

エントロピー概論:

様々な分野で使われている「エントロピー」について、完全な説明を行う。推定200ページ。一般向けでなくマニアックに徹する。情報論のシャノンの定理、公理論的熱力学のLieb-Yngvason構成、Large deviation の諸定理について、self-contained に書くだけでなく、それぞれの思想を明らかにする。(これは一番実現性が高いかも。でも、こんな本の需要があるとは思えない。ネット公開した「本」にしようかな。)

熱力学:

熱力学の完全本。推定500ページ。書くしかないが..............。

非平衡理論:

ははは。推定1000ページだな。(全く、ありとあらゆる初歩的なことを自分で考えないといけないのは、文化の伝達という点から極めて効率が悪い。僕が後世に残せるのはこういうことかもしれない。)