木曜日

若手技術者に対するセミナー。熱を扱っているけれど熱力学を知らない、あるいは、知っているけれど使いこなせない人に、エントロピーや自由エネルギーを知ってもらい、その意味と意義(ありがたみ)を納得してもらうことを目的とする。

相当に多忙な時期に重なってしまい、僕は時間的にはかなりの負担になった。企画側は「挑戦」としてこのようなプランをたてたけれど、このセミナーだけだと赤字。参加者は、明日からの活動にすぐに役立つわけではない。下手をすれば、誰もが大損になる危ない企画だった。

結果。僕自分の判断では、僕、企画側、参加者ともに、「長期スパン」で見たときにはよかった、、といえるのではないだろうか。短期の損を補うものがそれぞれあったと思える。少なくとも僕はそうだし、(普段はないらしい)終わったあとの特別の懇親会の会話をみていても、そういう雰囲気はあった。(勿論、それは、参加者の皆さんのおかげである。)

スライドはおろか、ノートもメモも一切なし。6時間、白板の前にたって喋り続け、ペンを動かしつづけた。(セミナー中の水分補給1.5 リットル。)大学1年向けの講義が18時間を基準にしているので、その約1/3 である。また、東大1年生とは年齢も意識も算数技術も違う。まずは構成に悩んだ。結局、自分がもっとも得意なところから入っていくのがいいだろう、、と。そして、絶対にわかって欲しいことを、具体的な例題と熱力学の言葉の両方で理解して欲しい。そのために「捨てる部分」をはっきり選ばないといけない。

このようなことは初めてなので、後から思うと色々反省点はあるが、自分のできる範囲でやれることはできた。そして、その内容は、他人には絶対にはできないものだと自負できるものにはなった。(でも、僕にそう思わせてくれるのは、参加者の皆さんあってのこと。くどいけれど、これは間違いなく真実。)

夜、疲れはてて、そばをすすって、風呂にもはいらず、カプセルに倒れた。