水曜日

研究計画を考える。書類のためではない。SST 関係は、この半年間、久し振りに嫌というほど考え抜いて、新しいストックが山のようにできたので、あらためて考えることはない。何からどういう形ですすめるのか、、というのはあるけれど。動的相関は、今年度から3年の予定でもらっている科研費の課題であって、基本的にはその申請どおりにすすんでいる。そこからより近視眼的に半年の計画をたてたい。今日はそのことに少し時間をとって考えていた。

半年で本質的に新しいことを立ち上げる気はない。目標は、具体的ではっきりしているのがいい。極めて単純で分かりやすく、半年というタイムスパンにふさわしい目標は、「ライデンで格好いい講演をする」だろう。つまり、これからの半年での動的相関にかかわる研究では、この目標をまず第一に考える。

僕たちが目指しているのは次の4点である。

1) 動的不均一性とよばれている協同現象は、ガラス系やジャミング系に固有ではない。cracking noise、興奮媒質中の化学反応系は間違いなく同じクラスだし、それにとどまらない。そのような面について証拠を固めたい。

2) saddle connection 分岐や saddle node 分岐近くでおこる動的事象の協同現象を記述する普遍的理論がある。これについては、溜めている研究結果を公表していくだけでも忙しいが、さらなる展開をみせたい。新技術の迫力は、できなかったことをできるようにする、、という形で見せるのがわかりやすい。その点からひとつ。さらに、理論としてまだ共通語になっていない部分があるので、それを整えないといけない。

3)動的相関の問題は、クロスオーバーの理解と裏表である。現在、確実にわかっている事実は、クロスオーバーの有無は現象(モデル)依存であり、かつ、クロスオーバーを決める因子は、(diagrammatic expansion の意味で)”非摂動的なイベント"らしい。稀だが重要なイベントがあって、それが協同現象をこわしてしまう場合が多い(し、こわさない場合もある)。つまり、協同現象の起源を正しく理解すれば、その壊れ方も理解できるはずである。ヒントはある...というか、ジュリオやブショーさんから別々に教わったことだけど。

4)動的相関は配置から決まる異常性と無関係ではない。たとえば、ずり系の非平衡定常状態の重率の表現としてエントロピー生成を使うことによって、動的相関をひろって応力に異常性を生まれることを理解するのは、自然な道であるが、その一方、(異常点の高温・低密度側からでは)応力分布が相互作用と境界条件だけで決まる可能性も残っている。その場合には、動的相関と独立な議論が可能である。Otsuki-Sasa の路線であるが、ダイナミクスからの解放という点では、背景思想は SST である。熱伝導系において温度場を理解するときの問題と同じように、応力場を理解するときにも、動的な立場からのアプローチと静的な立場からのアプローチがありえるようだ。この点を納得できる形でだしたい。

以上の4項目は、当然、共通部分がたくさんある。複数の項目にまたがる研究対象もある。1) から 4) にいくにしたがって難度は大きくなるので、イコールウエイトでもない。予定が大きくかわって展開することもあるだろう。しかし、このあたりであがいているとあっというまに半年が過ぎるだろう。