金曜日

卒研は、ふたりとも自分自身が主導的に課題を設定してえっこら試行錯誤しているのだが、そろそろ時間切れが近づいてきた。新しいことを考えたり、見つけたりするのは、そんなに簡単にはいかないことは納得できただろうし、試行錯誤の過程で得たものは、決して本読みでは得られないものだったと思う。(まだ、おわっていないけれど。) ふたりのうちのひとりは、夏に僕が担当する演習を受講していたので、卒研の裏で、演習の続きもやっていた。これは、課題を僕が最初から設定していたが、結果がでそうになってきた。

やっていたのは、武末さんの可逆CA。状態密度からきまる統計力学エントロピーを横軸にとり、CA を十分走らせたあとの01パタンに対して圧縮かけたときの圧縮率を縦軸にとる。エネルギー密度をかえて、この2次元平面にプロットをとると、直線にのる。傾きは例の数字。へぇ。。きっとそうだろうとは思っていたけれど、いざ、グラフをみると「おお」といってしまった。(これも学生が色々な試行錯誤をしたので、決してルーチンではない。)データだけで十分面白いと思うので、Phys. Rev E に投稿するように勧めて、草稿書きにはいってもらった。[ちなみにまだつめきっていないが、ほぼ間違いなく、その01列のKolmogorov complexity は圧縮率より低い。] 算数的に、このグラフは、どう理解するんだろうな、、方針すらたたない。

学部生で先走って論文を書いてしまうのは危険でもある。自分の課題を自分で判断していくのはもっとも苦しい部分でもある。最初に与えられた課題をすんなりこなして論文を書いて、その苦しい部分をパスしてしまうと、研究者を志向するならあとでつけがくると思う。
幸い、その学生は大学院では違う研究室に進学するので、4月からは、論文を書いたことを忘れて、再出発するように伝えるつもりではいる。