水曜日

朝早くにインドビザ申請センターに向かった。申請時間は9:00から11:00なので、8:45につくように朝早く家を出た。15分は道に迷うことを見越していた。駅から徒歩1分なので15分のサバを読むくらいでぴったりかもしれない。

予定通りに駅についた。指示どおりの出口から出て地図をみながら歩くが、やはり分かりにくい。しまった、ipadを持って来ればよかったか、と後悔したが、いずれにせよこの近くに目標があるのは間違いない。(徒歩1分なので油断してしまった。)

道行く人に教えを乞う。3人目に会った優しそうなおばさんは、「インドビザ申請センターは知らないが、住所は分かるかも。」と助けてくれた。

「このあたりは南〇〇町で、あんたが行きたいのは北〇〇町か。北はこっちやけど、1丁目なぁ。分からんわぁ。パソコンで打ち出した地図はうんたらかんたら….」

だったが、

「あそこの△△屋で尋ねたら、ええんちゃうかな。」

という親切なアドバイスをいただく。そうだなぁ。△△屋のおじさんにあいさつして、インドビザ申請センターに行きたいこと、住所は北〇〇町であることを伝えた。ご主人は、毎度の質問というのがありありで、

「反対!向こう側や。あの大きなビルが見えるやろ。あのあたりを右にいくんや。5分くらいかかるで。」

へ? そうなの?反対側か。北が向こう側というのはさっきのおばさんの指摘と辻褄はあっているが、駅から徒歩1分と書いてあるんだが? それに、おじさんの言うとおりだと、地図の上下の見方が反対で地図の北は下なのか。指定がないから分からないが。ipad もってくればよかった。しかし、あまりにも自信満々の断言だったし、明らかによく知っているぞ、というオーラがあったので、ともかくその大きなビルをまず目指すことにした。

ところが町名が変わり、地図との辻褄が合わない気がしてきた。道行く人に助けを乞うがご存知でない。3人目のおじさんが、「どれどれ。地図をみせてみぃ。」と助けてくれた。

「あぁ、反対!ここから5分くらいや。」

と、さっきと真逆なことを仰る。ただ、このおじさんは論理的で、

「ええか、この地図のこの道が前の方にみえる大通りで、この道が横を走っている大通りや。北浜はこっちや。だから今ここにいて、そこにいくには….」

なるほど。明快だ。地図は正しく理解した。この時点で駅をでて25分経過していたが、地図が分かったので、戻るしかない。しかし、さっきの△△屋さんのおじさんにはやられたなぁ。パリでは間違った道を教えられたことは何度となくあったが、大阪はパリみたいなものか。とか、独り言を言いながら、元に戻る。

雨の中だし、朝も早かったし、気が滅入ってきた。大通りにでたとき目の前をタクシーが通過したので止めてタクシーに潜り込む。状況を説明したが、

「あぁ、タクシーだとグル―とまわることになるけど、歩いたらもうすぐそこや。頑張りや。」

と丁寧にタクシーから追い出された。結果としては、このタクシー運転手さんは良心的だった。確かにもうすぐだった。そこから徒歩2−3分。さっきの明快な説明をしてくれた人のアドバイスに沿って、大通りから入っていく。そうすると、おぉ、南〇〇町という目指す地名がでてきた。ゴールはすぐそこだ。順番に番地を見ていって、到達!駅を出て35分経過していた。

あれれ?ここ最初におばさんに聞いたところから20メートル離れていないぞ。△△屋さんもすぐそこにある。何なんだ〜?でも着いたからいいか。30分くらい道に迷うのはよくあることだし、雨は気分悪いが、大して問題でない。

で、目的のビル1階にある「インドビザ申請センター」と書かれた部屋に入ろうとする。ノックして扉を開けようとするが、開かない? え? まさかの臨時休業?いや、昨日確認とったはず。呆然としていると、扉に張り紙が。

インドビザ申請センターは移転しました。新しい住所は〇町〇〇です。

は? それ、どこやねん?慌ててhomepage を開くが、そこにはアクセス情報として、今ここにいる場所が記されている。(そりゃそうだ。それを印刷してもってきたのだから。既にグチャグチャになってしまったが。)

一気に疲れた。もういいや、インドやめた。チケットはキャンセル料少しかかるが、キャンセル可能なものをとったはず。やめだぁ、やめだぁ。とぶつぶついっていたが、そういう勝手なことをすると、招待してくれた人に迷惑にかかるよなぁ。(知人の顔を思い出す。)冷静になろう。

もう一度扉にもどると、ネットのアドレスが書いている。でも、それは知っている…が、あ、まさか!自分が開いているアドレスから下の方を消してトップに戻って叩く。日本語表示にすると、何とそこにはまさに目前の住所が書いてあって、アクセス情報が書かれている。事態の整理は後にして、地図も分かったし、行き方も分かった。最初に降りた駅からここと反対側に徒歩5分。

あぁぁぁ。△△屋のおじさんがいっていたのは、正しいインドビザ申請センターの場所だったのか。いや、おじさん、それ知っているなら、まず移転した事実を教えてくれて、そっと地図と新しい住所を渡してくれれば良かったのに。

よし、しゃぁない、行くか。気をとりなおして、歩き始める。(さっききた道を戻り始める。)おそらく近くまでいって、でも場所が分からなくて、右往左往するのかぁ。しんどいなぁ。と思っていたところにタクシーが通過したので、やや強引に止める。事情を説明して、おそらく近距離で申し訳ないが、その場所にいってくれるようお願いする。笑顔の素敵なおじさんは快く了解してくれて、目的地の番地までピッタリといってくれた。(カーナビがあるからね。)タクシーですぐというわけでもなかったので、ヨタヨタの徒歩で迷わずいっても15分くらいはかかったかもしれない。

某ビル6階にあるインドビザ申請センターについたのは、駅を出て60分弱くらいたってからだった。タクシー使ってね。

予兆はあったんだよ。昨日、申請書類をつくろうとしたが、矛盾が色々あるので、ネットに書かれているところに電話したら通じなかった。インド領事館に正しい電話番号を聞いた。他にも質問するたびごとに、どうも見ているページが違っていた。しかし、その段階で、場所そのものが移転していることを推測するのは難易度が高い。