土曜日

終日、計算しながら考えていた。途中までは、復習もかねて、もっとも綺麗な形式化を確認し、午後後半からそれを踏まえて本番に入った。いけそうだ、と思ったが、やはりうまくいっていない。なんでだ。例えば、ばね定数がゆっくり変化する場合の調和振動子の断熱定理はランダウにもあるもっとも初等的な例である。この系統的な摂動というのは実は自明ではない。勿論、丁寧に組めば、形式的摂動論はできる。(これ自体、色々なやり方があって、自分がもっとも自然だと思うのも忘れていたけれど。駒場の最後の講義のはベストではないのしか思い出さなかった。)ただ、この形式的摂動論では、ゆっくりでないときのエネルギー変化のずれを摂動的に議論できない。摂動パラメータに関して真性特異点になっているから、いわゆる、非摂動論的方法を考えないといけない。ランダウの特定版では議論されている。
 そういうことをぐっとこらえて、ともかく形式的摂動論を組んでおくことはできる。これを横におくと、ネーター論文で議論した諸々を明示的に見ることはできる。作用の引数を制限するとき、どんな軌道たちに制限するか、というのはわかる。(ここまでは夏にやっていて、それを一般化したはずなのに、あまりにも展開が早くて多すぎて、記憶から消えていた。学会でわたなべはるきさんの質問に間違って答えてしまった。この2,3年でこういう記憶が本当ダメになった。)今日やっていたのは、作用の引数を制限して、対称性を出すのでなく、有効作用を導出して、そこに対称性を見出す、ということである。系統的な摂動論ができているのだから、それに対応するような作用に関する摂動論ができる気がした。その leading をみることでそこに自然に対称性がある、という形をみたかった。
 これができると、実は、視界が一気に広がる「道」がある − というのがこの1ヵ月のたうって分かってきたことである。