木曜日

どこにも出かけないのに、強烈に時間に追われる毎日になっていて、日記もかけない。これはよくない。寝る前もバタンとなっていることが多い。

先週は、ラファエルの集中講義だった。マクロな時間発展を大数の法則として書く(表現する)というのがどういうことなのか、初めて手にとって見たので非常に勉強になった。そういう考え方そのものは、大昔のレボビッツ先生の解説記事などでもあったのだが、ちっとも分からなかった。(易しく書こうとしていて何一つ僕には伝わらなかった。)一方、論文は技術が高すぎて分からない。いわゆる「教育的な」というか「初心者的な」ものを学ぶこと(そもそも材料すら)なかったのだが、今回の講義でそれを得たことが大きい。講義は欲張って最近の話までもっていきたかったようなのでちょっと走りすぎのところはあって、そのたびに申し訳ないけど止めさせてもらった。同じ時間を使うなら、一般的イントロの後は、リング模型と結合リング模型だけ丁寧にやってもよかったかもしれないと思う。リング模型は平衡統計力学の自由スピンみたいなもので、それが特殊すぎるというのは分かっていても、まずはそれを理解しないと始まらない。

ラファエルは今日飛行機でパリに向かった。3ヶ月弱だったが、非常に有意義な滞在だった。研究面では、とある命題について、まぁまぁのところまではいったが、もうちょっと詰めないとね。。というところで終わった。初期にがぁーとあがって、その後はアップダウンが色々あって、何とか山小屋に入ったあたり。不思議な式を得たところまでいっているので、次にそれを展開するのは僕の役目のような気がするが。。。

10月以降、週2回の講義があって、講義のたびに腰痛でのたうっている。1−2時間くらいでだいぶましになり、数時間たてば回復するのだが、講義後に歩いて研究室に帰るときが結構悲惨な状態になっている。対策を考えないといけないのに、無策なまま時間が過ぎて行っているなぁ。。

卒業研究も原則週2回(二人を担当していてそれぞれ1回)ある。それぞれ個性が違う学生たちだが、自然かつ熱心に取り組んでいるので大変気持ちがいい。まっすぐな疑問をそのままぶつけたり、うまくいきそうになって喜んだり、うまくいかなくて悩んだり、そういうあたりまえのことが出来る、というのが実は一番大事なことだと思う。例え今、理解していないことが膨大にあったとしても、毎日疑問をひとつづつつぶして1年たつと大きく風景が変わる。

↓に書いた伊丹君の話は、結果および全ての部品が(60年に渡って)どこかの論文にはある、という事態になったので、論文としての公開は先送りすることを伊丹君が決断した。その筋で書かれたのはないのだけれど、what's new に答えにくいのは確かだから。非平衡統計の渋い話は、明らかに途中で一旦歴史が消えた、というか、文化そのものが消えたのだと思う。僕自身は、伊丹君の話はこれから数年の研究の礎となるようなもののひとつだと思っているのだけど、未来のことだから客観的ではない。。

(PDの)南さんの動的くりこみ群のセミナーもあった。超明快な話で、2時間で現状と問題点など色々と浮かび上がってきた。さぁ、最初の勝負どころかな。

エントロピーとネーターも動きがある。これはまたいずれ。。